インドの中央銀行のマイケル・デバブラタ・パトラ副総裁は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が金融危機時に「安全な避難所」と誤解される可能性があり、これが銀行の預金に影響を及ぼし、大規模な引き出しを引き起こすリスクを警告しています。CBDCは金融包摂の向上や決済リスクの削減が期待される一方で、銀行の安定性に対する重大なリスクも伴うと強調されています。パトラ氏は、CBDCが預金保険機構にとっても重要な課題となりつつあり、CBDCが伝統的な銀行預金よりも安全と見なされるシナリオに備える必要があると述べました。また、CBDCの導入には、取引のプライバシーや銀行預金の置き換えの程度など、多くの不確実性があると指摘しています。CBDCの利点としては、中央銀行取引による決済リスクの排除や金融包摂の向上が挙げられていますが、24時間稼働のデジタル決済システムによる運用リスクにも注意が必要です。インドのCBDC(e-ルピー)は2022年12月に導入され、そのプライバシー機能が強調されていますが、利用は進んでおらず、最近まで100万件の小売取引が行われただけです。